誰かを傷つける物語なんて、書きたくない。
不幸なだけの物語は、もう要らない。
薄っぺらい笑いも、ご都合主義なハッピーエンドも、 意味の取れない中途半端な結末も、趣味じゃない。
……だから、自分で書くのなら、
誰かを幸せに出来る物語を書きたいと想った。
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月想庵の書斎
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単なる文字の連なりが、紙の上の物語が
どうしてこんなに、心を揺さぶるのだろう?
……童話を読んで涙を流したあの幼い日
小説の中の悲劇にやりきれなくて叫んだあの夜を
私は決して忘れたくは無い
だから……私は自分でも
人の心に漣を起こすような話を書きたいと願う
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舞い散る桜をただ目で追った春
抜けるような青空を恨めしく見上げた夏
紅葉の鮮やかさに眼を奪われ、息を吐いた秋
そして……雪を染めながら、家路を辿った冬
時間と共に変わり続ける世界を
せめて一葉の写真に残そう
……いつかは消えゆく想い出と共に
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世界の断片 |
移ろい行くこの醜くも美しい世界の
刹那の光を焼き付けて
私は少しでも長く留めようとしている
……無駄な足掻きと知っていながら
それでも止めることも出来ずに
今日もファインダー越しの世界を眺め続けている
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